E資格試験の半年間体験記|独学+オンライン講座で合格を目指した記録

はじめに(E資格を受けようと思った理由)

ChatGPTをはじめとする生成AIの登場は、私にとって大きな衝撃でした。
「もしかすると、人間よりAIと一緒に働いた方が効率的なのでは?」と感じる一方で、仕組みをよく理解せずに使い続けるのはリスクが高いとも思いました。

ちょうどその頃、私は会社でDX推進やAI活用のプロジェクトに携わっていました。社内には「AIを導入すればなんでも解決するでしょ?」という楽観的な空気があり、実際にはベンダーに丸投げしているような状況でした。そんな状況でうまくいくはずもなく、課題が山積みになる現実を目の当たりにしました。実際、このような課題は規模の大きな企業でもよく見られることです。そして、プロジェクトが一区切りついたタイミングで、私は退職を決意し、「この機会に腰を据えてAIを学んでみよう」と考えました。

その結果、私が目指したのは、ただAIを使うだけでなく、仕組みを理解してより主体的に活用できる立場になりたいということでした。そのために、体系的にAIの基礎から応用まで学べる「E資格」の受験を決意しました。

学習開始前の準備

どれくらいの基礎学力が必要?

私はもともと製造業のエンジニアで、プログラミングは初学レベルからのスタートでした。受験前には基礎固めとして G検定 と 統計検定2級 を取得し、E資格に挑戦する土台を作りました。

結論から言うと、E資格は本当にハードルが高い試験 です。

  • 数学(特に線形代数・微分積分・確率統計)
  • プログラミング(Pythonによる実装力)
  • 広範囲の理論知識と暗記

これらが前提知識として問われるため、基礎を疎かにするとすぐに壁にぶつかります。

「G検定に受かったから次はE資格!」と軽い気持ちで挑むと、挫折する可能性が高いでしょう。私自身、統計検定2級で数学の肩慣らしをしていたものの、E資格で扱う数式や理論の理解には大変苦労しました。

そのため、E資格の学習を始める前に、基礎固めを徹底することが最も重要 だと痛感しました。

どれくらいの学習時間が必要?

E資格の合格に必要な勉強時間は、人によって大きく異なります。一般的には、

  • AIやPythonの経験者:100〜200時間程度
  • AI初心者:300時間以上

と言われています。とはいえこれはあくまで目安で、背景知識や学習方法によって大きく変わります。

目安としては、少なくとも3ヶ月〜半年ほどの学習期間を確保すること をおすすめします。私は離職中に集中的に学習できたため乗り切れましたが、仕事と両立する場合はかなりの覚悟が必要です。プライベートの時間を大きく削り、学習に充てる生活が前提になるでしょう。

また、E資格は合格率こそ約70%と高めですが、試験内容は高度でストレスも大きいです。出題範囲が広く、膨大な専門用語や数式が飛び交うため、初学者にとっては「まるで外国語を聞いているようだ」と感じる場面も少なくありません。

つまり、合格可能性は決して低くはないが、継続的に学習し続ける精神力が問われる試験 と言えます。

ITスキル標準(ITSS)でのE資格のレベル

ITスキル標準(ITSS:IT Skill Standard) とは、IT人材の能力を評価するために経済産業省が2002年に策定した指標で、現在はIPA(情報処理推進機構)が管理しています。エンジニアとしてのスキルを7段階で評価する仕組みです。

ITSSの7段階評価とE資格の位置づけ

  • レベル2(ミドルレベル)
    基礎情報技術者試験やG検定が該当。
    → 上位者の指導を受けながら業務を担当できるレベルで、プロフェッショナルになるための基礎的知識・技能を有する段階。
  • レベル3(プロフェッショナル初級)
    応用情報技術者試験(AP)やE資格が該当。
    → 要求された作業を独力で遂行できるレベル。応用的な知識や技能を有し、専門分野を確立していく段階。

つまり、E資格はITSSでレベル3に位置づけられる、難易度の高い試験 です。参考までに、同じレベル3に位置する応用情報技術者試験(AP)の合格率は約20%程度。合格率70%前後のE資格と比べると数値上は差がありますが、問われる知識はAI・ディープラーニング分野に特化しており、実際の学習負荷は非常に高いと感じました。

E資格の受験資格

受験資格

E資格は誰でも受験できるわけではありません。
受験資格を得るには、JDLA(日本ディープラーニング協会)認定プログラムの受講・修了が必要です。E資格の受験資格を得るには、JDLA認定の教育プログラムを試験日の過去2年以内に修了している必要があります。

  • 認定プログラムは受講料が数万〜数十万円と幅広い
  • オンライン講座・通学型講座など形式もさまざま

私はとにかくコストパフォーマンスを重視して、オンライン動画講座を選びました。

さらに、E資格の認定講座には 教育訓練給付制度(専門実践教育訓練) の対象となるものもあり、条件を満たせば受講費用の50%〜最大80%が助成されます。ただし、ハローワークでの事前申請が必要で、助成金の受け取りは講座終了後になる点に注意が必要です。実際に私はこの制度を使って50%の給付を受けました。

👉 ポイント:オンライン講座の場合は開始日が自由ですが、助成金を利用するなら 少なくとも開始の1か月前には申請手続き をしておくのがおすすめです。

費用はどれくらいかかる?

私の場合、費用は 約10万円 でした。講座の受講料に加えて、E資格の受験費用もかかる点に注意が必要です。
教育訓練給付金の追加給付(20%)は、私の場合、離職中だったため「資格取得+就職」が条件となります。試験には合格しましたが、就職がまだのため、追加給付は受け取れていません。なお、追加給付金の対象期間は訓練終了日から 1年以内 です。

項目費用
認定講座受講料127,600円
精選問題集6,000円
E資格受験費用33,000円(一般)
教育訓練給付金-63,800円(受講料50%)
合計102,800円

半年間の学習スケジュール

私はE資格の学習をおよそ半年間かけて、以下のように進めました。
なお、E資格は年2回(2月と8月)に試験が実施されるため、半年間の学習スケジュールを組む場合は、2月または8月に合わせて学習を開始すると効率的です。ただし、教育訓練給付金を申請する場合は、申請手続きのために少し早めに準備をスタートするのがおすすめです。

1〜2か月目:基礎固め

私が受講した講座はオンライン形式だったため、主に動画で学習を進めました。
この期間は数学やPythonの基礎に重点を置きました。講座にはG検定の内容も含まれていましたが、私はすでにG検定を取得済みだったため、その部分はスキップしています。

  • 数学(線形代数、微分積分、確率統計)の復習
  • Pythonの基礎文法、NumPyやPandasの使い方

3〜4か月目:実装と演習問題

講座の動画授業をすべて終えた後は、実装課題に取り組みます。この期間に課題をすべて完了し、受講終了の認定条件をクリアしておくと、残りの期間を試験対策に集中して使うことができます。

  • 機械学習モデルのPython実装
  • CNN、RNNなどのディープラーニングモデルをPyTorchで実装
  • 演習問題や講座付属の問題集

5〜6か月目:試験対策

この期間は、問題集を繰り返し解くことに集中しました。G検定やE資格には公式の過去問題集がないため、私は「ディープラーニングE資格精選問題集」を購入し、本番に備えました。この問題集は出題範囲が網羅的にまとめられており、試験で出題される問題のイメージを掴むのに非常に役立ちました。

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  • 問題集を繰り返し解く
  • YouTubeや生成AIを活用して弱点補強
  • 模擬試験で本番を想定した練習

👉 スケジュールを明確に区切ることでモチベーションを維持しやすい と実感しました。

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苦労したこと・挫折ポイント

E資格の学習を始めた当初は、正直、講座の内容がまったく頭に入らない状態でした。認定講座の動画を視聴しても、専門用語や数式が次々と出てきて、まさに「一言一句わからない…」という感覚でした。

そこで、学習のアプローチを変えることにしました。認定講座はあくまで 受験資格を得るための手段 と割り切り、形式的に学ぶことに。私が受講したオンライン講座はテキストと動画が中心で、E資格の出題範囲をざっと説明している内容でした。一度見るだけでは、理解には程遠いというのが正直なところです。

それでも、講座を通じて E資格全体のイメージをつかめたこと は大きな収穫でした。理解度はまだまだでしたが、「どこを重点的に学べばよいか」が見えてきたのは非常に助かりました。

そのあとは、以下を中心に行いました。

  • ChatGPTに「小学生でもわかるように説明して」と質問する
  • YouTubeで分かりやすい解説動画を探す
  • 書籍や記事で基礎を補う

特に生成AIの活用は、自分の理解度に合わせて解説してもらえるため非常に効果的でした。また、ハルシネーション(※AIが事実と異なる内容を出力する現象)には注意しながら情報を確認しました。

本番試験当日の様子

試験は CBT方式(Computer Based Testing) で、試験会場のPCを使って受験します。

制限時間 120分 で約100問を解く形式で、問題は応用数学、機械学習、深層学習、開発環境など、幅広い分野から出題されます。試験ではコード問題も多く、個人的には苦手な分野が多く出題された印象でした。

問題の半分は「見たことがある問題」、もう半分は「初めて見る応用的な問題」といった感じで最初はかなり焦りましたが、時間配分を意識し、解ける問題から確実に答える戦略で臨みました。手応えは正直まったくなく、半年後の再受験も覚悟していました。

そして試験結果は約 3週間後 にメールで届きます。

試験結果

結果は… 無事に合格!


半年間の努力が報われた瞬間でした。結果は得点率として分野別に確認できます。合格は喜ばしいことですが、肝心な機械学習と深層学習の得点率は低めで、理解度にはまだ課題が残る結果となりました。

なお、合格基準は公表されていないため、得点率の具体的な数字は伏せます(正直に言うと、単に恥ずかしいので載せたくないです)。

E資格は意味ない?実際に取得して感じたこと

「E資格は意味がない」といった声を聞くこともあります。実際、E資格を取得した人の体験談の中には、「AIエンジニアやデータサイエンティストには自分には合っていなかった」と感じる方もいます。

しかし、資格の価値は目的や立場によって大きく変わります。たとえば、転職や給与アップが目的なのか、知的好奇心から知識を深めたいのか、あるいは個人でAIを使った開発を行いたいのか。目的次第で、「意味がある」と感じるかどうかは人それぞれです。

企業や転職での評価はまだ限定的かもしれません。しかし、E資格を通じた学習は知識の指針となり、自信にもつながります。そして間違いなく、これからのAI時代においては、学習している人とそうでない人の間で大きな差が生まれるでしょう。そう考えると、E資格の学習には十分な価値があると言えます。

まとめ(E資格を目指す人へのメッセージ)

E資格の学習は決して楽ではありません。半年間、毎日学習に向き合う覚悟が必要です。

しかし、計画的に進めれば誰でも合格を目指せる試験 です。

  • 独学+オンライン講座の組み合わせでコストを抑えられる
  • ChatGPTやYouTubeを活用して自分の理解度に合わせた学習が可能
  • 数学とプログラミングを避けず、基礎を固めれば合格は近づく

私自身、この学習を通して、AIを「ただの便利ツール」として使うだけでなく、仕組みを理解しながら使う感覚が少しずつ身についてきたと感じています。合格はゴールというよりも、AI時代に向けて学びを続けるためのスタートラインのようなものです。

👉 これからE資格を受験される方には、ぜひ自分のペースで学習を進め、合格を勝ち取っていただきたいと思います。

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